ハイボール文化の原点、サントリー角瓶を飲み直す
コンビニでも酒屋でも、必ずと言っていいほど棚に並んでいる一本。1937年発売、鳥井信治郎率いる寿屋(現サントリー)による戦前からの国産ウイスキーの系譜という、とにかく息の長いブランドを角瓶を隅々まで見ていく。 ボトルデザインと原酒構成 サントリー角瓶Amazonで見る → 六角形の鼈甲柄ボトルが「角瓶」の愛称の由来になっていて、発売から90年近く経った今も基本デザインは大きく変わっていない。中身は山崎蒸溜所・白州蒸溜所のモルト原酒と、知多蒸溜所のグレーン原酒をブレンドしたもの。自社で3つの蒸溜所を持ち、原酒を垂直統合的に調達できるというのがサントリーの強みで、角瓶の価格と品質のバランスはこの体制に支えられていると感じる。 発売当初は43度だったが、1992年に40度へ変更されている。熟成年数の表記はなく、いわゆるノンエイジステートメント。若い原酒も柔軟に使えることが、安定した価格を維持できている理由のひとつだと思う。 香り・味わい バニラやカラメル、蜂蜜、柑橘、シナモンを思わせる穏やかな甘い香りが特徴で、麦芽由来のほろ苦さとオークのスパイス感が奥に続く。なめらかで軽やかな口当たりは、ストレートでちびちびやるというよりは、何かで割って楽しむことを前提に設計されている印象を受ける。余韻は短め〜中程度で、雑味や金属的な渋みが少ないのは好印象だ。 複雑さで勝負する一本ではないが、その分どんな割り方をしても破綻しない懐の深さがある。 ハイボールという文脈 2008年頃からの「角ハイボール」訴求キャンペーンをきっかけに人気が再燃し、以降は日本のハイボール文化そのものの代名詞的存在になっている。個人的には、この「ハイボールの原点」という肩書きは伊達じゃないと思っていて、氷をたっぷり入れた炭酸割りにすると香りの甘さがちょうどよく引き立つ。食事との相性も広く、から揚げのような脂っこいつまみとも普通に合う。 価格・入手性 希望小売価格は資料によって表記に差があるものの、実勢は700mlで1,700〜1,900円程度に落ち着いていることが多い。2016年、2023年と値上げを経ているが、2026年時点でも大きな価格改定や販売終了の兆しはなく、現行品として安定して流通している。 サントリー角瓶Amazonで見る → コンビニ・スーパー・酒販店・ネット通販、どこでも同じように手に入るという安定感は、日々飲むボトルとしては地味に重要なポイントだと思う。 90年近い歴史を持ちながら、いまだに「一番手に取りやすいウイスキー」の座を譲っていないというのは、なかなかすごいことだと思う。派手さはないが、それこそが角瓶の強さなのだろう。 関連記事: 千円台の安ウイスキー10本、ハイボールにも水割りにも合う相棒探し · スコッチウイスキー5本を飲み比べ、グラスの中のもうひとつの制作環境 · ブラックニッカ クリアの軽さはどこから来るのか