各社は「プロの音が、これ一つで手に入る」と謳う。2026年現在の定番5機種——Focusrite Scarlett 2i2(4th Gen)、Universal Audio Volt 276、RME Babyface Pro FS、Yamaha AG03MK2、YAMAHA URX22C(旧Steinberg UR22C)——を比較していく。
軸は、オーディオインターフェースという道具の性格に合わせて次の5つに整理した。
- セットアップ — 箱を開けてから、迷わず音が出るまでの距離
- 操作性 — つまみや入出力を、体が覚えてくれるか
- 録音開始 — すぐに録音・配信を始められるか
- 拡張性 — 入出力や付属ソフトで、将来の自分にも対応できるか
- 耐久性 — 長時間の本番中に、こっそり切れたりしないか
Focusrite Scarlett 2i2(4th Gen) — 優等生な新人

- セットアップ 5 / 操作性 4 / 録音開始 4 / 拡張性 3 / 耐久性 5
「初めての一台」として真っ先に名前が挙がるだけあって、セットアップの手軽さは五本の中でも頭ひとつ抜けている。「イージースタート」という機能のおかげで初心者でも迷わずセットアップを終えられて、届いたその日から曲作りに入れる身軽さは素直にありがたい。micro-USBからUSB-Cへ変わったことで接続も安定し、長く使っていてもクラッシュや切断で泣かされた記憶がない。
弱点を挙げるなら、入出力が2in/2outで止まっている点。将来的にトラック数を増やしたくなったら、次の機種を探すことになる。とはいえ、最初の一台としての完成度に文句をつける方が難しい、そんな優等生ぶりだ。
Universal Audio Volt 276 — 気取らない本格派

- セットアップ 4 / 操作性 4 / 録音開始 4 / 拡張性 4 / 耐久性 3
VINTAGEボタンひとつで、往年の真空管コンプレッサーの質感が手に入る。コンプレッサーの知識がなくても簡単に良い感じの音になるのがすごいと感じたし、細かく追い込めない代わりに何も考えず使えてしまう割り切りの潔さも気に入っている。
ただし前面スイッチの質感はやや安っぽく感じ、見た目の高級感と細部の質感には少し差があるように思う。玄人向けの機能を初心者にも開いてくれる気さくな本格派、という評価に異論はないが、細部の質感はもう一声欲しいところだ。
RME Babyface Pro FS — 無口だが、裏切らない職人

- セットアップ 2 / 操作性 3 / 録音開始 3 / 拡張性 5 / 耐久性 5
正直に書くと、この職人は最初はとっつきにくい。スピーカーから音を出すのさえ難しく感じるほどで、本体にツマミがほとんどなく「TotalMix FX」というソフトを理解しないと始まらない設計思想は、初心者にはたしかに壁になる。三日で挫折しかけた、と正直に申告しておく。
けれど一度覚えてしまえば、その先はもう裏切らない。ドライバはとにかく安定していて、TotalMixも使い込むほどに手に馴染んでくる。ADAT接続で最大12in/12outまで拡張できる自由度と、業界最速クラスの低レイテンシは五本の中でも群を抜くと感じた。無口で説明下手だが腕は誰よりも確か、という職人気質にはただただ感心する。
Yamaha AG03MK2 — 配信界のスタンダード

- セットアップ 5 / 操作性 5 / 録音開始 5 / 拡張性 3 / 耐久性 3
実況・配信初心者の方はまず買って間違いないと言い切れるくらい、配信・実況デビューの定番になっている一台だと思う。マイク音量からリバーブのオンオフまで、すべて手元のつまみとボタンで完結する潔さで、難しい操作は全くない。LOOPBACK機能でPC音声とマイクをその場でミックスできるので、配信アプリ側の設定に頭を悩ませる必要もない。
ただし本体は3チャンネル止まりで、複数人配信や本格的な多チャンネル運用には向かない。また何かしらの負荷が発生した時にPCからの接続が一瞬切れることもあり、絶対に落ちてはいけない本番では予備機を考えておきたいところだ。それでも「配信の入り口」としての完成度は五本の中でも随一だと思う。
YAMAHA URX22C(旧Steinberg UR22C) — 名前が変わった、頼れる相棒

- セットアップ 4 / 操作性 4 / 録音開始 3 / 拡張性 4 / 耐久性 3
長年「Steinberg UR22C」として親しまれてきたこの一台は、2025年のブランド統合で「YAMAHA URX22C」と名前を変えた。中身は変わっていないというから、古くからのファンもひとまず安心していい。最初のオーディオインターフェイスとして今でも十分オススメできると感じるし、初心者にはコレ一択かもしれないとすら思う。MIDI入出力を備える点はScarlett 2i2にはない強みだ。
ただし初回セットアップは、ドライバ導入・Basic FX Suite有効化・Cubase AIのアクセスコード入力と、少し手数が多い。ドライバまわりの互換性や不具合が気になる場面もあり、長く連れ添うにはドライバの更新をこまめに見てあげる必要がありそうだ。名前は変わっても中身も性格も変わらない、というのはユーザーにとって素直にありがたい。
まとめ
| オーディオI/O | セットアップ | 操作性 | 録音開始 | 拡張性 | 耐久性 |
|---|---|---|---|---|---|
| Scarlett 2i2(4th Gen) | 5 | 4 | 4 | 3 | 5 |
| Universal Audio Volt 276 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 |
| RME Babyface Pro FS | 2 | 3 | 3 | 5 | 5 |
| Yamaha AG03MK2 | 5 | 5 | 5 | 3 | 3 |
| YAMAHA URX22C | 4 | 4 | 3 | 4 | 3 |
それで、結局どれを選べばいいのか
- とにかく最初の一台で失敗したくない人 → Scarlett 2i2(4th Gen)
- 本格的な質感を気軽に手に入れたい人 → Universal Audio Volt 276
- 音質と拡張性に妥協したくない人 → RME Babyface Pro FS
- 配信・実況をこれから始める人 → Yamaha AG03MK2
- MIDIも使う宅録派、コスパ重視の人 → YAMAHA URX22C
裏方の道具は、うまく働いているときほど存在を忘れられる。逆に言えば、名前を思い出さずに済むくらい安定して働いてくれる一台こそが、本当に「良い機材」なのだと思う。この五本はいずれも、その意味で信頼できる相棒だった。
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