Max for Liveの使い方は、自作より先にLFOのMapボタンから覚える
Ableton Live の上位版である Suite を使っていると、ブラウザの一角に「Max for Live」という項目があるのに気づく。名前からして、自分でプログラムを組むための難しい機能だろうと思って素通りしている人は少なくないと思う。私も最初の半年ほどは、その項目をほとんど開かなかった。 けれど中身を見ていくと、Max for Live は「自作のための道具」である前に、「すでに出来上がったデバイスの詰め合わせ」でもある。Suite には、Max for Live で作られた音源やエフェクトが最初から数多く入っていて、ふつうのエフェクトと同じようにトラックへ置くだけで使える。そのなかには、Live の作り方そのものを少し変えてしまうような道具も含まれている。 この記事では、自分でデバイスを組み始める手前の段階に絞って、Max for Live で何ができるかを整理する。3種類のデバイスの置き場所、いちばん出番の多いLFOとMapボタン、付属のパックとコミュニティのデバイス、そして「Edit」を押して中身を開いたときに何が見えるのか。ここまで分かっていれば、自作に進むかどうかを落ち着いて決められると思う。 Max for Liveは、Liveの中で動くもう一つのソフト 1973年製のモーグのモジュラーシンセ。機能ごとの箱をケーブルでつなぐ発想は、Maxの画面にそのまま受け継がれているPhoto: Attila Szász / CC BY-SA 4.0 Max for Live を理解するには、まず「Max」というソフトのことを知っておくと話が早い。Max は、1980年代半ばにフランスの音響研究所 IRCAM でミラー・パケットが開発を始めた、音楽のためのビジュアルプログラミング環境だ。文字でコードを書く代わりに、画面上に「オブジェクト」と呼ばれる小さな箱を並べ、それをケーブルでつないで処理の流れを作る。モジュラーシンセのパッチングを画面の上で行うような感覚に近い。 その後、デヴィッド・ジカレリが創業した Cycling ‘74 が Max を製品として育て、音声処理や映像処理の機能を加えていった。電子音楽や現代音楽の現場、インスタレーション、大学の研究などで長く使われてきたソフトで、音楽制作の世界では「何でも作れるが、何でも自分で作らなければならない道具」という位置づけだったと思う。 この Max を Live の中で動かせるようにしたのが Max for Live で、2009年に Live 8 と組み合わせる形で登場した。2017年には Ableton が Cycling ‘74 を買収し、両者の結びつきはさらに強くなった。現在の Live 12 Suite には Max 9 が同梱されていて、別途 Max を買ったりインストールしたりしなくても、Max for Live のデバイスをそのまま使えるし、中身を開いて編集することもできる。 ...